おやつを買いに500キロ

2015年5月28日(木)

ゴールデンウイークのツーリングで回れなかった、南相馬市まで行ってきました。おやつを買いに500キロ走ったようなものですが、多少なりとも避難指示区域周辺を自分の目で見ることができました。


富岡町と浪江町の間の帰還困難区域では、バイクは原則通行不可です。ただし高速道路だけは例外として通行可となっています。

国道6号線を南相馬方面へ向かっていると、道路の掲示板に「ここから○○Km先バイク通行禁止」がよく現れます。

ということで、いわき四倉ICから常磐道に乗って南相馬を目指します。片側1車線の対面交通ですが、交通量も少なく走りやすいです。

放射線量を表すモニタリングポストが何か所か設置されています。初めは0.3μSv程度だったのが、だんだん上がって5.5μSvを表示しているのを見たときは、さすがにいい気持ちはしませんでしたが、かなり限定的で、すぐに1以下まで下がりました。あとから調べてみれば、一般的な生活しかしていない我々にとって、5.5μSv自体まず影響のない量であることも分かりました。

それから途中「富岡ICより先、バイクは6(号線)を北上できません」という旨の立て看板が数か所立っています。実はルート確認のため浪江町の役場に問い合わせたときに、常磐道はバイク通行禁止のはずと言われたのです。南相馬のガソリンスタンドでも同じことを言われました。バイクに興味のない人がぱっと見ただけでは、「常磐道がバイク禁止」という意味にとってしまったのかも知れません。ただ、地元の人でさえ正確な情報が行き渡っていないと感じました。

南相馬で常磐道を下り、おみやげに木の幡さんで凍天を買いました。説明書きにある通り、レンジで温めると油っぽくなってしまいましたが、それでも家人には好評でした。



帰りは浪江ICから乗ることにして、国道6号線をいわき方面へ南下します。

原ノ町駅辺りまではそれなりに賑わいがあったのが、6号線で少し市街地から離れたとたんに寂しくなります。田んぼは荒れたままで、沿道のお店も開いていません。平日の昼下がりだというのに、"あの"国道6号線がガラガラで貸切状態です。正直、気味が悪いくらいです。パトカーとは何度かすれ違いました。また、動物との衝突に注意を促す看板をよく見ました。

浪江町に入り、常磐道への指示にしたがい、114号線を右折します。逆に左折はできないようにバリケードが張られ警備員が監視しています。直進もここから少し先でバイクは通行禁止になるようです。

インターまでの区間も始めてみる光景です。

交差点、脇道、各家への進入口、これらすべてにバリケードが設置されています。そして誰もいません。車も走っていません。人も自転車も見かけません。なんだか胸が詰まってきて、先を急がなければいけない気がしてきました。

途中一人だけ自転車に乗ったおじさんを見かけました。

IC直前にスクリーニング場なる所がありました。車の放射線量を測って、必要であれば洗車をする施設のようです。

114号線もインターから先は通行止めです。道路は閉ざされており、警察官もいたりして、なんだかインターチェンジ入り口というよりも検問所の雰囲気です。

常磐道は、たまたまタイミングがそうだっただけかも知れませんが、下ってきたときよりも交通量が多かったです。

常磐道から見える市街地もまた無人地帯です。地震による被害に対して応急処置を施しただけで、その後は放置されたままという感じの建物が目につきます。

行きには気が付かなかったのですが、除染で取り除かれた放射性廃棄物の仮置き場と思われるのが目につきます。土地改良区というか、区画整理地のような敷地に黒くて大きなビニールの塊がきれいに並べてあります。それがあちらこちらにあります。それこそ、少しでも平地があれば仮置き場に使っちゃえって感じです。

これだけの廃棄物をいったいどこへ処分できるというのでしょうか。

非常に複雑な思いを抱いたまま避難指示区域を過ぎ、広野ICで6号国道へ下りました。ちょうどJビレッジのあるところです。この辺りは原発作業員を乗せたバスが頻繁に行き交い、同じ6号線でも南相馬側とはだいぶ雰囲気が違います。

道の駅よつくら港で昼食にしました。メガ海鮮丼を食べてみようと思っていたのですが、それは皆できたときのために取っておこうと思い(?)ふつうの海鮮丼にしておきました。




そもそも北を目指そうと思ったのは、北茨城の天心記念美術館で開催されている浮世絵展を見たいと思ったからなのですが、時間もなくなってきたので、結局パスして、あとはほぼ真っ直ぐ帰宅しました。

走行距離: 530.9Km

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