最近、ETC2.0という単語を目にすることが増えましたが、いつも断片的な情報しかないので、自分なりにETC2.0とは何かまとめてみました。ただ私説私見の部分も多々あるので、軽く読み流す程度にしてください。
まず、ETCの登場以前にVICSがありました。VICSとはFM多重放送や光ビーコンを使って交通情報を提供するサービスです。利用するにはVICS対応のカーナビが必要です。せっかく普及してきたカーナビなので、もっと高度に利用しようということだったのでしょう。
FM多重放送では、隣接県との県境までの情報を受信することができます。 一般道では光ビーコンから30Km先の情報を受信できます。そしてVICSから受け取った交通情報をもとにカーナビが最適ルートを検索します。
ETCの登場はそのあとです。一応カーナビに接続して、音声案内や料金の表示などはできましたが、交通情報はVICSという別サービスで提供されており、通信方法も別々でした。ETC車載器単体で取り付けている車も多いと思います。
ところでETCがデビューした当初、お役所的には「イーテック」と読ませたかったらしいです。まったく普及しませんでしたが、、、
VICSがFM多重放送や光ビーコンを使っていたのに対して、ETCではDSRCという無線方式が採用されました。これはパソコンの無線LANと同じく、IEEEという国際規格で定められており、車同士の通信規格の一種です。VICSよりもはるかに高速で通信できます。
DSRCにも速度的に2種類の規格があって、ETCは1Mbpsという低速通信でスタートしました。それでもVICSに比べれば格段のスピードですが、DSRCは4Mbpsという高速通信も可能で、それを使えばVICSでは送れなかった大量のデータを送ることができます。
ということで登場したのがITSスポットサービスです。DSRCの高速通信を生かして、最大1000Kmの道路情報を送ることができます。逆に渋滞末尾までの残り距離などという詳細な情報や、リアルタイムで画像を送信したりすることもできます。DSRCなので当然、ETCも利用できます。一石二鳥どころではありません。
インフラ投資から考えてもDSRC一本に集約すべきと誰でも考えるはずです。なので、平成24年4月以降、VICSの新設はなくなったそうです。
ただいかんせん、ユーザーに対して現在のETC1.0+VICSをDSRCに置き換えさせるほどの訴求点がないのが現状ということです。 自分も3年前にカーナビを買うとき、オプションでETCを付けるかDSRCを付けるか考えましたが、そのときはDSRCのメリットが理解できなかったこともあり、ETC1.0+VICSという構成にしました。
DSRC(ITSスポットサービス)が普及しないもう一つの理由が、名前のややこしさです。色々な単語が並びますが、どれをとっても分かりにくいです。ましてや同じサービスをDSRCと呼んだり、ITSスポットサービスと呼んだりして、ユーザーは混乱するばかりだろうということで、名称を「ETC2.0」で統一するに至ったという次第だそうです。
ETC2.0基本サービスは以下の通りとのことです。
渋滞を避けるために一般道に下りて再び高速に乗った場合や、迂回ルートを使った場合の割引などが受けられる模様です。
詳しくは、国交省やETCのポータルサイトを参照してください。
前置きが長くなりましたが、ETC2.0を利用し、ETC2.0の恩恵を被るにはどうすれば良いか。
自分のように既にカーナビにETC1.0の車載器をつないでいる場合は、ETC2.0対応の車載器に買い替えなければなりません。カーナビがDSRCに対応していない場合は、残念ながらカーナビも買い替える必要があるかも知れません。どちらか分からない場合は、メーカーに問い合わせてみてください。ETC2.0対応車載器は、ITSスポット対応車載器と書かれているかもしれません。あるいはDSRC対応車載器と書かれているかもしれませんが、どれも同じです。
3年前、カーナビをつけるときは、DSRCのメリットもよく分からなかったし、こんなに早く移行期が来るとも思っていませんでした。たしか車載器もETC車載器より高かったと思います。でも今思えばDSRC車載器にしておけば良かったかもしれません。
車載器を交換するとき、ETC2.0としてセットアップしてもらいます。
すでにDSRC対応車載器を使っている場合も、改めてETC2.0として再セットアップしなければなりません。そうしないとETC2.0の恩恵は受けられません。
セットアップには当然費用がかかります。3000円程度が相場のようです。
そこで、ITSサービス高度化機構という団体では、「ETC2.0再セットアップサポートキャンペーン」を実施しており、先着10万人に最大2700円の助成をしてくれるそうです。
現在はカーナビをコンソールに利用する想定になっていますが、今後はスマホと連動できる車載器も登場するようです。もちろん単体で利用できる車載器も登場します。音声での案内になるので、利用できるサービスに制限がでるようですが、料金の優遇は受けれらるようです。
スマホや通信カーナビが自動車のコンソールとなる流れの中、首都圏における圏央道の開通や、普及期に入ったビッグデータ技術など、ETC2.0にとって追い風になることは間違いなく、次の段階として自動運転システムにつながっていくことも確かなのだと思います。
【参照サイト】
【文中の略語について】
- ETC/Electronic Toll Collection System/電子料金収受システム
- VICS/Vehicle Information and Communication System/道路交通情報通信システム
- DSRC/Dedicated Short Range Communication/専用狭域通信
- IEEE/Institute of Electrical and Electronic Engineers/(米国)電気電子技術者協会(が定めた規格)
- ITS/Intelligent Transport Systems/高度道路交通システム
0 件のコメント:
コメントを投稿