五月残雪、二輪で駆けるサンリンの謎。上信越800キロの旅。【2日目】


 二日目の朝は、5時半に幕を開けた。

ふと目が覚めたので、そのままの足で朝の散歩がてら駅を見に行くことにした。

現れたのは、じつにモダンな駅舎だ。驚いたのは、構内のキオスク(最近はニューデイズともいうらしい)にモンベルのコーナーが併設されていたこと。いかいにも妙高の懐に抱かれた駅らしくて、思わずニヤリとしてしまう。

入場券を買って新幹線の姿でもカメラに収めようかと思ったが、あいにく部屋に財布を置いてきていた。旅先でのこういう小さな間抜けさも、また一興だ。

6時半頃にホテルへ戻ると、食堂の前にはすでに朝食を待つ宿泊客の長い行列ができていた。GWのエネルギーを朝から見せつけられた気分だった。

ホテルを這い出し、まずは「道の駅あらい」へ。雄大な妙高山をバックに、愛車とともに記念撮影を果たす。

昨日は国道17号を走ったが、今日は国道18号を快走する。

じつを言えば、昨日、日本海の夕日を天秤にかけてまでフォッサマグナを優先したのは、この朝に「いもり池」へ立ち寄りたかったからだ。

水面に映る美しいリフレクションを期待していたのだが、山の気まぐれか、あいにく水面には細かな波が立っていた。

突き抜けるような五月の青空が素晴らしかっただけに、こればかりは少し残念だった。

信濃町に入り、「サンリン黒姫給油所」というスタンドで11リットルを給油する。

バイクにガソリンを入れながら、熊谷さんがニヤニヤとして口を開いた。

「二輪で来ても、サンリン(三輪)とはこれいかに、ってね」

まるで前座に現れた落語家のようなセリフに、思わず肩の力が抜けた。

お次はお土産を手に入れるべく、「道の駅やまのうち」へ滑り込む。

ここで濃厚なソフトクリームをペロリと平らげたのだが……じつは彼らが熱心に買い物をしている隙に、私がひと足先におやきを胃袋に収めていたことは、ここだけの内緒である。

道の駅からは、いよいよ本日のハイライト、志賀草津道路へと突入する。Googleマップを開くと「浅間・白根・志賀さわやか街道」なんて小洒落た名前が記されている。

標高を上げていくと、季節外れの白い世界が現れた。距離こそ短かったものの、雪の回廊をバイクで駆け抜ける快感は格別だった。走ることに夢中で、写真を撮り損ねてしまったのが悔やまれる。

万座三差路まで来ると、草津方面はまだ規制が解除されておらず通行止めのままだった。万座ハイウェーを使って一気に嬬恋村まで駆け下りる。

国道406号線を渋川方面へ進み、「道の駅やんばふるさと館」を過ぎると、巨大なダム湖に架かる不動大橋を渡る。

橋を渡りきったところで高崎方面への案内を見つけ、そこを右折。群馬県道377号線へと入る。

途中で国道406号線に合流し、そのまま高崎の賑やかな市街地へと突入していった。

目指した先は、江木町にある「高崎ウルスタ丼」だ。ウルトラスタミナを略してウルスタ。

ここは古橋さん激推しの店である。

暖簾(だった気にさせる店)をくぐると、じつに感じの良い店主と店員さん(奥さんだろうか)が笑顔で迎えてくれた。その好印象もさることながら、運ばれてきた丼のパンチの効いた美味さといったらなかった。胃袋にガツンとくるエネルギーを補給し、大満足で店を後にする。

高崎からは、国道354号線をただひたすらに、延々と東へ向かってひた走る。

旅の終わりが近づく寂しさをエンジン音で掻き消しながら進み、圏央道の境古河ICに到着。ここで、二日間をともに走った古橋さんと「じゃあ、また」と手を振って別れた。

バックミラーに映る仲間の姿が小さくなっていく。

今回の総走行距離、803.6キロ。

よく走り、よく笑った、密度の濃い二日間の旅が終わった。

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