2026年5月9日(土)
つくば牡丹園でシャクヤクをみてきました。
ふと目が覚めたので、そのままの足で朝の散歩がてら駅を見に行くことにした。
現れたのは、じつにモダンな駅舎だ。驚いたのは、構内のキオスク(最近はニューデイズともいうらしい)にモンベルのコーナーが併設されていたこと。いかいにも妙高の懐に抱かれた駅らしくて、思わずニヤリとしてしまう。
入場券を買って新幹線の姿でもカメラに収めようかと思ったが、あいにく部屋に財布を置いてきていた。旅先でのこういう小さな間抜けさも、また一興だ。
6時半頃にホテルへ戻ると、食堂の前にはすでに朝食を待つ宿泊客の長い行列ができていた。GWのエネルギーを朝から見せつけられた気分だった。
ホテルを這い出し、まずは「道の駅あらい」へ。雄大な妙高山をバックに、愛車とともに記念撮影を果たす。
昨日は国道17号を走ったが、今日は国道18号を快走する。
じつを言えば、昨日、日本海の夕日を天秤にかけてまでフォッサマグナを優先したのは、この朝に「いもり池」へ立ち寄りたかったからだ。
水面に映る美しいリフレクションを期待していたのだが、山の気まぐれか、あいにく水面には細かな波が立っていた。
突き抜けるような五月の青空が素晴らしかっただけに、こればかりは少し残念だった。
信濃町に入り、「サンリン黒姫給油所」というスタンドで11リットルを給油する。
バイクにガソリンを入れながら、熊谷さんがニヤニヤとして口を開いた。
「二輪で来ても、サンリン(三輪)とはこれいかに、ってね」
まるで前座に現れた落語家のようなセリフに、思わず肩の力が抜けた。
お次はお土産を手に入れるべく、「道の駅やまのうち」へ滑り込む。
ここで濃厚なソフトクリームをペロリと平らげたのだが……じつは彼らが熱心に買い物をしている隙に、私がひと足先におやきを胃袋に収めていたことは、ここだけの内緒である。
道の駅からは、いよいよ本日のハイライト、志賀草津道路へと突入する。Googleマップを開くと「浅間・白根・志賀さわやか街道」なんて小洒落た名前が記されている。
標高を上げていくと、季節外れの白い世界が現れた。距離こそ短かったものの、雪の回廊をバイクで駆け抜ける快感は格別だった。走ることに夢中で、写真を撮り損ねてしまったのが悔やまれる。
万座三差路まで来ると、草津方面はまだ規制が解除されておらず通行止めのままだった。万座ハイウェーを使って一気に嬬恋村まで駆け下りる。
国道406号線を渋川方面へ進み、「道の駅やんばふるさと館」を過ぎると、巨大なダム湖に架かる不動大橋を渡る。
橋を渡りきったところで高崎方面への案内を見つけ、そこを右折。群馬県道377号線へと入る。
途中で国道406号線に合流し、そのまま高崎の賑やかな市街地へと突入していった。
目指した先は、江木町にある「高崎ウルスタ丼」だ。ウルトラスタミナを略してウルスタ。
ここは古橋さん激推しの店である。
暖簾(だった気にさせる店)をくぐると、じつに感じの良い店主と店員さん(奥さんだろうか)が笑顔で迎えてくれた。その好印象もさることながら、運ばれてきた丼のパンチの効いた美味さといったらなかった。胃袋にガツンとくるエネルギーを補給し、大満足で店を後にする。
高崎からは、国道354号線をただひたすらに、延々と東へ向かってひた走る。
旅の終わりが近づく寂しさをエンジン音で掻き消しながら進み、圏央道の境古河ICに到着。ここで、二日間をともに走った古橋さんと「じゃあ、また」と手を振って別れた。
バックミラーに映る仲間の姿が小さくなっていく。
今回の総走行距離、803.6キロ。
よく走り、よく笑った、密度の濃い二日間の旅が終わった。
2026年5月5日、午前6時10分。
つくば市稲岡のミニストップに滑り込むと、同時に熊谷さんの顔が現れた。
旅の始まりはいつも、こういう何気ないシンクロニシティが面白い。
圏央道から東北道へと繋ぎ、まずは佐野SAを目指す。しかし、GWの洗礼か、途中で激しい渋滞に捕まってしまった。結果、自宅からトコトコと下道を走ってきた古橋さんの方が、我々よりだいぶ早く到着しているというオチがついた。高速道路のスピードが、必ずしも旅の速さとは限らないのだ。
赤城高原SAまで駒を進めると、遠くに雪を戴いた山並みが姿を現した。これには否応なしにテンションが上がる。
色めき立った我々は、そのまま昭和ICで高速を捨て、国道17号へ下りることにした。
目指すは、三国峠越えだ。
道中、泊まりもしないのに苗場プリンスホテルの駐車場にバイクを停め、皆で記念撮影を決め込む。旅人の特権のような、他愛のない悪戯だ。
「道の駅みつまた」でひと息入れる。
この先、津南へ向かうルートに入ると食事処がなさそうに見えた。
「早めに昼飯にしませんか」
そう提案してみたが、「まだ腹が減っていない」の一言であっさり却下されてしまう。
湯沢の市街地へ抜け、鶴屋湯沢SSで12リットルを給油。驚いたことに、エネオスが2軒並んで立っていた。聞けばそれぞれ別経営なのだという。競争の世界は厳しいな、などと考えていると、SSを出た途端に熊谷さんが「よし、お昼にしよう」と言い出した。
さっき却下されたばかりなのに、これだから旅の仲間は一筋縄ではいかない。
しかし、こういう時に限って適当な食堂が見つからないものだ。
気がつけば国道353号への交差点まで来てしまった。仕方がなく、角のセブンイレブンで弁当を買い込み、駐車場の縁に座り込んで胃袋に流し込んだ。これもまた、悪くないロードサイドのご馳走だ。
せっかくなら清津峡の絶景も拝みたいところだったが、「連休中は予約者のみ」の看板があちこちで冷たく行く手を阻んでいた。潔く諦め、先を急ぐ。
津南で国道117号線を野沢温泉方面へ左折。マウンテンパーク津南の案内に従い、さらに右折する。
スキー場へ向かうワインディングロードは、決して綺麗な路面ではなかったが、ぐんぐんと標高を上げていく感覚が実に気持ちいい。
センターハウスを過ぎると、目の前にゲレンデが広がった。初心者用の迂回コースだろうか、細くクネクネとした道をさらに這い上がっていく。
辿り着いたのは「空の展望台」。
しかし、そこは砂利の未整備地だったため、無理をせずバイクを置いた。そこからさらに上の展望台へと、一歩一歩歩いていく。
そこからの眺めは、なかなかのものであった。
来た道を引き返し、センターハウスの先を左折すると、ほどなく「川の展望台」が現れた。
こちらはしっかりと展望台として整備されている。手すりに身を乗り出すと、眼下には信濃川と彼方には苗場の山々が広がっていた。
次なる目的地は、星峠の棚田だ。
国道403号線から、「脱皮する家」を横目につづら折りを上っていく。下からのアプローチだけで、すでに期待感は最高潮に達していた。
そこにあったのは、素晴らしい眺めだった。
どこからレンズを向けても、そのまま一枚の絵になってしまう。
道路の上には立派なウッドデッキ風の展望台があったが、残念ながら宿泊者専用とのこと。それでも十分、日本の原風景を堪能させてもらった。
さあ、いよいよ上越市へ向かい、日本海に沈む夕日を拝みに行く時間だ。
だがその前に、熊谷さんの希望で糸魚川市のフォッサマグナパークへ立ち寄ることにした。
上越ICから北陸道に飛び乗り、糸魚川ICまで高速道路でワープする。
国道148号線を白馬方面へ進むと、お目当ての看板が見えた。しかし、そこが見学者用の駐車場だとは気づかず、勢い余って通り過ぎてしまう。
気を取り直して引き返す。
うーむ、ここが東日本と西日本の、大地の分け目なのか。そう思うと、ただの風景が急に感慨深いものに思えてくるから不思議だ。
フォッサマグナを後にした時には、時計の針はすでに午後6時を指そうとしていた。
夕日を諦めきれず、途中の名立谷浜SAに滑り込んで悪あがきをしてみたが、夕沈む方角は無情にも木立に遮られていた。
夕日とのランデブーは、次回のお楽しみというわけだ。
上越JCTから上信越道へ分岐し、上越高田ICで下りる。
上越妙高駅は、もう目と鼻の先だった。
ホテルにチェックインを済ませ、すぐ隣にある「釜ぶたの湯」へ。日帰り温泉の熱い湯に身を浸すと、今日一日の走行風と疲れが嘘のように溶けていった。
仕上げは「魚民」で乾杯。
冷えたビールが、火照った体に染み渡る。こうして、密度の濃い一日は更けていった。